私は戸外制作で深く対象を**「見る」という行為を突き詰める中で、現実のあらゆるものの重なりや、光と影が見せる境界**に強く惹かれるようになりました。その境界をじっと眺めていると、自身と時間を忘れ、深い静寂の中に漂います。そして、すべてが途方もない広がりの中で美しく存在していることを感じさせます。
この感覚自体を純粋に表現するためにはどうすればいいのかという課題に長年向き合う中で、徐々に抽象へと移行しました。しかし、抽象へと移行したからといってスケッチは今でも欠かせません。なぜなら、私が表現したいものは、現実にあるが見えないものだからです。
私は日々のスケッチで感覚を磨いていき、個人的な存在の枠を超え、普遍的な静寂と対話する中で得られる未定義の感覚を、視覚的な存在として成立させることです。